良いタイミングの記事

http://mozan.typepad.com/mozanblog/2006/08/post_2.html

よく日本には会社への忠誠心と依存症を混同して語る人がいる。会社は組織でしかなく、そこに人格はない。「会社を辞めることは会社を裏切ること」というのは、まるで会社を擬人化した依存症だ。そういう人は、逆に会社にクビを言い渡されると人格を否定されたかのようにパニックに陥る。はっきり言うと、転職や退職する人に対して会社への忠誠心を疑問視する行動は間違っている。「It works in both ways」。

さて、一番大事なのは自分。でも自分のやりたいことが会社と合致しているのが大事。会社を辞めるタイミングについては、自分が会社に与えることが、会社から得ることを上回ればそれが辞め時だと一般的に言われる。だから、5年も本気で働いて自分が一通り何でも自分自身でできるようになると、ほとんどの人は必ず「上」を見るようになり、いずれは転職する。この転職の理由は「ステップアップ」だ。

だから、5年以上もダラダラと一つの会社にいる人間は変人のように見られることが多い。彼らはよほど才能があって会社から高給与でひきとめられ、会社の重役コースに居るか、または能力が無くて転職先が無いが、給与が低すぎるのでレイオフのレーダーに引っかからず会社に居残っているというケースが多い。だから、5年以上ひとつの会社に居続ける人は、そのままCorporateの上層部に入っていくしか居残る理由がない。平社員で何十年も居残っている人は自分の給与明細と自分の履歴書を見直す必要がある。

ちょうど今の私にタイムリーな話題。
私のいた会社は「転職する奴=会社の裏切り者」だってはっきりトップが言ってて、そんなこと言っちゃう人がトップの会社に忠誠心なんてないし、会社に所属していることで安心感も得られないし、ステータスでもなかった。そして、忠誠したところで対価が支払われているかといったらそうでもないので、妥当な結果だと思ってた。

ただ、なんだろうな……。韓国の徴兵制度みたいに、日本では一度正社員で雇われて、そこで社会人としての合格点をもらわないと国民として認められないというような使命感を感じて、なんとか合格点をもらおうとしていたけれど、私は軍隊的な規律に耐えられなくて兵士にはなれなかった。というような感じがするかも。んでさ、すでに合格点をもらっている人たちがさ、正社員にならなくて(徴兵されなくて)いいのは、プロスポーツ選手かアーティストなどの特別な才能を持った人しかだめだ! って怒るんだよね。

会社を辞めることにいたしました

今まで何をしていたかというと会社員をしておりました。もともとはCGデザイナー*1を目指していたのですが、専門学校在学中に母と離婚した父からの養育費と名の仕送りが途中で途絶えまして、お金を稼がなくちゃならなくなり、なんでもいいからとネットで検索して目についたテレビ番組制作会社がなぜかWEBデザイナーを募集してて、WEBなら高校生の頃からHTMLいじってるし今でも自分のサイト持ってるからできるはず〜なんて気軽に面接に行ったら、「君とは縁がある気がする」なんて言っていわれて雇ってもらえたんです。
だけど、入ってみれば火の車で、普通デザイン会社に発注するところを今まで日記サイトをやってただけの子が今日始めて知ったようなことを「じゃあ、今日から頼むよ」と頼む*2というキチガイぶりで、入って早々「できません…!」と人前で号泣するなんてこともしました。
そんな騒ぎもあるネットのお祭り終了ともに部署*3ごと解散*4になり、「え、じゃあ、私はなにを……」という状態のときに、「じゃあ、ADやっか!」と、テレビのADデビュー。
しかし、今まで内向的、はっきりいえば根暗でコミュニケーション不全の私がハキハキしゃべってチャキチャキしきって人を笑わすような仕事ができるはずなく、どんどん追い詰められていって、1年後くらいには眠れない=不眠症コレ幸いと精神病院に駆け込み、見事診断書*5をゲットし、退職したのでした。
んで、その頃には当初の目的(CGデザイナー)を見失い「私に何ができるんだろう……」と、自分探しをかねて、競馬場に行ったりする日々を1〜2ヶ月ほど過ごしたら、金がつき、「とりあえず今の自分が一番お金が稼げる場所」と検索したら某ポータルサイトがバイトを募集しててですね。デスクワークで、時給が良かったんですよ。また、コレ幸いと応募したら、受かりまして、「この仕事でいいのかなあ……断ろうかなあ……どうしようかなあ……」と悩みつつも「現実問題お金がないし、とりあえずやりながら考えよう*6」なんて入ってみたら、意外に居心地が良くてですね、気がついたら契約社員になって、3年経ったら正社員の話が来たのです。
私は、「今後どうするかは働きながら考えよう」なんて思ってたのに3年間なにも考えてなかったのですね。目の前の仕事が楽しかったので、「この仕事を続けてもいいかもな」くらいには思っていましたが、「続けてもいいかな」くらいなので正社員の話はちょっと重い……。だけど、雰囲気的に断れない状況でそのままなし崩しに正社員になってしまい、正社員になってからは「これでいいのか」と毎日頭の中がグルグルしてました。そんなところに部署異動の命令が下ったのです。
今までは「それなりにおもしろい仕事」だったから「続けてもいいかな」とも思っていたんですが、異動してみたら、データ登録とか、画像作成とか、必要な仕事なんだけど、なんらおもしろみの一切ない仕事ばかりで、だんだん会社に行くのが嫌になってきました。元々多かった遅刻・欠勤がさらに増え、ダメスパイラルの海へずぶずぶと落ちていきます。家でごろごろしながら、「これでいいのか、続けられんのか、復活できんのか、私、会社員になれるのかなー」とか、まー色々考えたのですが、考えた結果「なれない。どー考えてもなれない。だって興味ないし。興味ないのにがんばれっこないやー」とまあ自分に都合良過ぎかなと思いつつ、このままズルズル働くのも会社に迷惑なので、「辞めます!」と宣言したら、ちゃっちゃと手続きが進み、来週の月曜日が退職日となることにあいなりました。

とりあえず、経歴的には6年間やったWEBの仕事で食いつなぐ予定だけど、今まで「とりあえず」で何かやって、そのまま流されて、ダメだ〜! って気づいて辞めるのが2度目なので、そろそろ学習する予定。
はてさて、なにやるかなあ。

*1:ピクサーとか好きで、映画のCG屋さんになりたいなどと思っておりました

*2:製作費を安く抑えるため

*3:といっても総勢3人くらいの部署

*4:火の車にしたPが相当キチガイだったので終了と同時にクビになった

*5:診断名は「躁うつ病」。根暗でデフォルトがテンション低い↓のに、仕事で無理してテンション高めて↑、仕事終わるとドーン↓を1年間やったらぶっ壊れた、と。

*6:通院も続けてたので頑張るのは無理と判断

ゲドを褒める人の心理状態〜批判の批判の批判〜

まだまだ書きますよ。
また巡回していたのですが(どんどん感想が書かれていておもしろいです)、ゲドを褒める人は特有の雰囲気を持っていて、共通して窺えるのは、「私は大衆と違う」という自意識過剰さがあると思いました。みんながダメだというものこそ、褒めたくなり、深読みし、これは多くの大衆には理解できない作品なんだ、と書く。大体ね、おもしろかった、手放しにおもしろかったと思うなら、批判する人の話を持ち出す必要はないのですよ。褒める人の特徴は、まず最初に批判している人を批判し、そして、自分がどんな人間だかをアピールする。自分の知識をひけらかす。んで、映画のどこがおもしろかったか具体的に詳細には述べていない。映画の良かったところを具体的に上げて、どんな風に感じて、どうして面白かったのかを読みたいと思うのに、書かれているのは批判の批判。同じ穴のムジナですなーホホホ。と私は思うわけですね。

批判の批判なしの上質な『ゲド戦記』映画評を読んでみたいものです。書評なり映画評なり、何かを評する時は好みを離れてフェアに内容を読み取るのが正しい評価のあり方だと思っております。

▼過去の記事
http://d.hatena.ne.jp/antenna-books/20060731/1154321892
http://d.hatena.ne.jp/antenna-books/20060730/1154274492

ゲドの感想盛り上がり

やっぱ『ゲド戦記』は、感想を言い合うのがおもしろい映画なんだなとニヤニヤしながら、キーワード「ゲド戦記」を巡回してます。そこで気づいたのは、「新人にしては…」と書く、宮崎吾朗擁護派からDT臭がする。やっぱテーマゆえなんだろうなあ。アレンはDTなんだろうか。DTっぽいよなあ。そして初恋が竜と……。それは困難だ。
私はWikipediaで原作のあらすじを読んでから見たんだけど、アレンが世界を統べる王になるのって想像できない。この後にどんな成長を遂げるんだ。そして思ったのは、アレンが主人公なら、やっぱアレンの話だけに絞るべきだったんだと思うわ。ゲドとテナーはもっと脇役でよかった気がする。中途半端にテナーの過去とかを挿入しちゃったから、観客の混乱を招いたわけで。
あとやっぱ疑問に思ったのが「なぜに『ゲド戦記』?」とタイトルと内容が=じゃないこと。この映画の主人公はアレンだし、"戦記"って、アレンの内面の戦いが9割で、戦記といえる箇所ってあったかしら? タイトルに"ゲド"と入っているから、どっちが主人公なんだ? って見てて焦点が絞れないし、映画内でのゲドの存在理由は、CMなどに使われている重要なセリフを言わせるためだけに存在していたようにしか思えない。ゲドは主人公アレンを導く脇役に徹することもできず、主人公以上の存在感と「何かしてくれるかも……」という期待を抱かせ、抱かせたままで終わってしまう。言いたいことだけ言ってなにもしないのは、アレンが将来、世界の統治に関わる者であるという先見の目から、自分自身がここで問題を解決してしまうことより、アレン自身が問題を解決することが重要だから、……なんて思っているからかなあ、と勝手にフォローは脳内でしてみたけれどもね。でも、やっぱ予備知識なしだと、ここまでは推測できないわけで、ジブリのことも監督のことも原作のこともなーんにも知らずに見た観客(特に子供)には同情をしてしまうわ。予備知識が必要な長編アニメ映画ってのもなあ、と酷評するほどじゃないけど、褒められた映画とも言えない、と。そう思うわ。

うわさのアニメを見てきたよ

ゲド戦記

前評判の悪さは知った上で見に行ったけど、「みんなは最悪っていうけれど、自分が見たらおもしろいところを見つけられるかもしれない」ってのは、自分を過信し過ぎていたと反省したわ。 そして、見て「うわあ……」ってなって、「どこがダメだった……?」って友達とダメ出ししあうのが、正しい楽しみ方の気がしてきたよ。

とりあえず、部分部分良いところもあるんだけど、色んなことがもったいないアニメで、宮崎吾朗はアニメよりも映画が撮りたかったんじゃないか? みたいな、アニメである必要がまったくないアニメだったなーと思った。実写の方がまだ良くなった気がする。

偉大なる王(父親)を殺した王子(息子/主人公)っていう宮崎駿宮崎吾朗の関係を連想する設定を使ってる時点で「主人公=吾朗」って見方をされるって分かってやってるんだろうと思うから、主人公があまりに空っぽ過ぎるのが、吾朗の人間の中身のからっぽぶりを表しているようで、なんともはや……。
主人公のアレンって、「しゃべらない」「行動しない」「流される」の3つで形成されてる性格で、始終ほとんどしゃべらないし、周りのゲドやテルーが全部必要以上にしゃべってくれて、行動も周りに促されてからじゃないと行動しないし、やっと自ら動いたと思ったら、周りが言った言葉をそのままオウム返しして叫んだり、「どうなのよ、それって……」って思うことはやむえない。
あと、登場人物の動機付けが全員弱すぎるし、背景もまったくわからん。説明不足でわからんことが多いのに畑を耕してるカットとか、日常のカットが無駄に長くて、それで時間取っちゃって、物語の重要なメッセージはゲドに長セリフで何度も何度も喋らすし、アニメでやってる意味なし。相田みつをのようにゲドのセリフをカレンダーにして発売したらどうかね。世間にメッセージを伝えたいならそれで充分。それとも、これくらい分かりやすく伝えないと観客はわからないと、バカにしてるんだろうか? とか思っちゃったよ。

んで、

ゲド戦記の監督が押井守にダメ出し
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/745995.html

http://www.ghibli.jp/ged_02/20director/000252.html
昨日、ジブリの試写室で
押井守監督の最新作『立喰師列伝』の試写を観ました。
(中略)
押井さんは、私に対して一方的な親近感をもってくれているらしく、
立喰師列伝』を、ぜひ観てほしいということでした。
私は、押井さんにもうひと花咲かせてほしいと思っています。
だから感想は、一言。
もう一度、同じテーマで、
サービス第一のエンターテインメントに挑戦してほしい、
これだけです。


って、「え……っ?」とか思うようなこと言っちゃってるし、ゲドにテーマを長々と何度もしゃべらすのが「サービス第一のエンターテインメント」なのかなあ? とか思ってしまうよ。
上記の文章は、押井守とは親しい間柄でそういった口も聞ける仲だから……と勝手に想像しておくけどさ。

それと、今までのジブリアニメで一番違う点は、「人間に悪意を持って描いている」っていう点で、性格の悪い登場人物が多い。んで、最後まで性格の悪いままで終わる。性格の悪さは改善もしないし、救いもしない、と。出しっぱなしで放置。吾朗は冷たいやつだなーと思ったよ。
そんなに父親と違うものをやりたいなら、ジブリでやらなきゃいいのに。絵柄もジブリのスタンダードなものを使わなければいいのに、と思ったよ。まあ、でもジブリの冠をつけないとスポンサーがつかなくて製作費が無いんだろうけどさー。 自分は気が進まないのに電通とか鈴木Pに担ぎ上げられちゃってシンドイことこの上ないかもしれないけどさー。


と、色々いったけど、一番感じたのは、「吾朗はアニメに愛がない」。
これにつきると思うわ。
ゲド戦記』は、みんな"仕事"で作ったんだろうなーと。 まあ、近年のジブリアニメがそんなに良かったわけではないんだけど……。わたしの中だと面白かったのは「魔女の宅急便」までだし。

んで、口直しに帰りに『アップルシード』のDVDを借りたら、良質なアニメ(3DCGだけど)だったわ。原作が古いので、映画の脚本も古風なテーマになってるんだけど、ひたすらメカ萌え。メカに対する愛だけで作られた映画だった。ゲドを見たあとに見ると同じ時間でもこれだけの複雑な設定の内容が詰められるから、できないはずはないんだけどなあ……、と思っちゃうのよね。新人とはいえ、普通の新人よりはるかに恵まれた環境にいるのだから。しかしそれだけ、吾朗の周りには、ゲド戦記でいうゲド的存在が欠けていて、孤軍奮闘したのかもしれないけどね。全て推測の域を出ず。

みんな文句言いすぎ!って怒る人もいるけど、やっぱ恵まれた環境の人に期待してしまうのは仕方がないことだと思うのよね。やっぱさ、なんだかんだいってサラブレッドじゃない。それだけ、期待されてることはまったく期待されないよりもありがたいことだと私は思うよ。

あ、あと、そうそう、敵役のクモってキャラクターがマイケル・ジャクソンに似てました。んで、「永遠の若さ!」みたいなことばっかいうのね。集中できねー。

読んだもの

無人島ラバーズ (バンブー・コミックス 麗人セレクション)

絵がめちゃきれいなBL作家ってひたすら耽美系に走るか、ギャグに走るかのどちらかだと思う(私基準)んだけど、これはギャグだった! しかも、かなりテンポいい。きれいな男子とマッショの口からだらだらお下劣なことが出てくるのって楽しい。

ぬけぬけと男でいよう 1 (アクションコミックス)

内田春菊原作の漫画化作品。帯には「春菊自薦!」との文句。不倫する夫が主人公の漫画。春菊自身、漫画が描けるけど、デフォルメキャラなので絵を楽しむ要素は薄いけど、こちらの漫画家さんイワシタシゲユキは、人の表情を描くのがめちゃくちゃうめえ。妻が子供を使って夫を攻撃してるときのニッコリ顔とかリアルでこわい〜!
内容は、ちょうど今やってるドラマ『不信のとき*1に似てるかも。

*1:米倉涼子「正妻」VS「愛人」松下由樹