あとで感想書くためにメモ

マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・スクランブル』がおもしろかった。
久しぶりに二次元に行きたくなったよ。アタイもウフコックがいて、ドクターに娘みたいとか言われてえよ、このやろう!
憧れたヒロインっていうと昔はクリィミーマミとかだったけど、今はダークヒロインの方が感情移入と憧れを持ちやすいなあ。

って、『シュバリエ』と『蒼穹のファフナー』が脚本・冲方丁なんだ〜。いきなり興味が出てきた。 『蒼穹のファフナー』って、大好きだった『獣戦士ガルキーバとキャラクターデザイン一緒だしー。きゃー。

執事の分際 (白泉社文庫)

ある人に「カズオ・イシグロの『日の名残り (ハヤカワepi文庫)』の世界のBL漫画だよ」とすすめられて購入。ひたすらクールな執事(結構若い)と、めちゃくちゃ美少年で世間知らずのわがままな若君というカップリング。執事の仕事萌えをちょっと期待していたので、もうちょっと仕事の場面があるといいのになあ〜。恋愛漫画としては上質。よしながふみって絵柄がどうも苦手だったけど、ストーリーがおもしろいのでついつい読んじゃう。

風に舞いあがるビニールシート

スキルのある小説家が、相田みつをの詩にインスパイアして、現代を舞台にした小説を書いたとしたら、近いものが出来るのではないかと第135回直木賞受賞作の森絵都風に舞いあがるビニールシート』を読んで思った。相田みつをの詩は、心が弱っているとき、悩みを抱えているときなどに、人生の選択を後押しする効力を持っている。本著も同様だ。本著は6編の短編からなりたっており、各編ごとの主人公たちに共通されているのは、それぞれ方向性は違うが、人生の岐路で選択をしたその後と選択をするまでの話であることだ。各編ともに、序文では主人公たちの現在の状況と立場を描く。プロフィールの細部はひとまず伏せておき、主人公たちが自分を取り巻く状況へ思いを巡らしていくうちに徐々に背景や過去がバラされていき、最後に人生の選択を確信する作りになっている。そして、ぼやけていた像が焦点を結ぶと浮かび上がってくるテーマ、それが相田みつをの詩と近似するのである。
例えば、『器を探して』は、クリスマスイブに出張の仕事を入れられた弥生が、仕事と自分について自問自答するストーリー。わがままなオーナーや束縛心の強い彼氏に悩まされながらも、自分の信念をつらぬき、最後にはふっきれることが出来る。弥生が選び取ったのは、《自分の信じるもののために生きること》。テーマは、まさに「しあわせはいつもじぶんのこころがきめるby相田みつを」だ。
『守護神』では、大学の第二文学部の夜間部に通うフリーターの祐介が、単位確保のために大学で噂の代筆の達人ニシナミユキに会いに行く。最初、ニシナミユキとの質疑応答に繕った返答をしていたが、徐々に過去のトラウマにより隠していた文学に対する情熱を吐露する。情熱を吐露した後に出てきたのは、挑戦心と人生への希望だ。自分の本当の気持ちに素直になれというテーマは、「ほんとうのことがいちばいいby相田みつを」しかない。
また、『ジェネレーションX』は、団塊の世代である嫌味な上司の定年退職を待ち望んでいる健一は、クライアント先の新人である石津に世代差を感じて、否定的でお説教くさい意見を言ってしまうが、石津のことを知るうちに忘れていた気持ちを思い出し、最後は石津に理解を示す。テーマは、「他人のものさし 自分のものさし それぞれ寸法がちがうんだなby相田みつを」だ。ものさしの寸法の違いに気づくことが相手への理解へつながり、以前の自分をものさしの寸法も思い出すことができるということだ。
他のテーマを紹介すると、『犬の散歩』は「アノネ がんばんなくてもいいからさ具体的に動くことだねby相田みつを」で、『鐘の音』は、「あのときのあの苦しみもあのときのあの悲しみもみんな肥料になったんだなあ じぶんが自分になるためのby相田みつを」だ。この詩に感ずるものがあるなら、読んでみる価値はある。
そして、表題作の『風に舞いあがるビニールシート』。主人公の里香は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)で同じ職場だった元夫のエドが、難民キャンプ先であるアフガンで亡くなり失意の日々を過ごしている。現地活動に何度も誘われ断り続けていた里香だが、エドとの思い出を回想しながら、生前のエドの不安や現地にこだわる理由に理解を深めていく……、というストーリーだ。エドの生前、里香はエドが帰る場所を快適で安心できる場所にすることが大事だと思っていた。しかし、快適にすればするほどエドは困惑して安心出来なかったのだ。環境や立場の設定は特殊だが、テーマは、「かねも名誉も地位財産もじぶんの外側になんにも求めないときをほんとうの安心という そういうおまえさん自身に安心があるかby相田みつを」だ。エドの死によって安心の意味を知ったのである。
相田みつをの詩には、自分の悩みに当てはまるように感じる思いこみ効果があるが、本著も自分の悩みの処方箋のように感じる読者が多いに違いない。