福満しげゆき

まだ旅立ってもいないのに

まだ旅立ってもいないのに

福満しげゆきの短編集「まだ旅立ってもいないのに」を読んだ。
帯には

まだ何もはじまっていないのに…
僕はもうクタクタだった…

とにかくどうしょうもない物語が並んで。

「子供が終わる子供が泣く」
−なんでイジメられるってわかってるのに毎日いくんだろう…バカみたい……
−人にとられるくらいなら自分で壊してこよう………

「みか月さん」
−いずれにしても、これが現実…

「フカンゼン少年」
−就職しよう 何でもいいから就職しよう…
−あのっやめてください!! ボクは歌なんてうたいたくありません!!!

「おじさんのうた」
−私には何もする事がないんだ…
−アンタみてーのを月給ドロボーって言うんだよなぁ…

「まだ旅立っていないのに」
−遅刻しそうなのに全然うまく歩けない……
 すごく頭がいたい…

「つまらない映画の中の君と つまらない映画の中の僕」
−うううっ…最近すぐ泣くんです…ううっ…泣くときもちイイ〜〜〜
−君は少し考えすぎるきらいがあるから少し減らしたほうがイイ……
−この劇場にいるみんながみんな………僕と同じくらいの自意識と主人公意識をもって生きているなんて…気が遠くなる…

「駅前で夜」
−…と言うか友達もいないじゃないか…

「僕たちは残尿感を感じる為だけに生まれてきたんじゃない」
−僕は『主人公意識』を持って、この世の中を生きている……
 なんのとりえもないクセに…だ
−こーゆうタイプの人はなんの屈託もなく真っすぐに自分が主人公と思って生きているんだろうな……

「青春・夢・挫折・その他」
−こいつらは……
 くだらないよな…
 …そう思いつつも
 くやしいのか…
 悲しいのか…
 うらやましくもあり…
 その他…
 いろいろな…
 感情が…

主人公が全部自分じゃないか、と読みながら思ったけど、福満しげゆきの漫画にハマる人はみんな登場する主人公と同じ気持ちを味わった人達なんだろうなあ…
華倫変が死んでから、自分を慰めてくれる漫画は無くなってしまったんだけど、福満しげゆきはいいかもしれない。他のも読んでみよう。